【ブラックの温床?】経験者がSIerのシステムエンジニアがブラックになりやすい原因を考察してみた【転職・将来性】

キャリア・転職
この記事は約8分で読めます。

SIerってブラックと言われているけど、なぜブラック企業が多いの?今すぐ転職したほうが良い?

このような疑問に答えていきます。

本記事のテーマ

本記事を読むと、次のようになります。

  • SIerがなぜブラックになりやすいのかがわかる
  • SIer就職の是非がわかる
  • SIerを含めたキャリアパスがわかる

結論

SIer(対企業向けにシステム開発を行う企業)はブラックになりやすい構造的な問題があります。大別すると下記の4点です。

  • ビジネスモデル(労働時間ベースの売上・多重下請け)
  • 要件を詰め切れない、途中で変わる
  • マネジメント側の技術力(システム開発力)不足
  • その会社の風土

 

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記事の信頼性

 私は新卒でSIerという「対企業向けにシステムを開発する企業」に就職しました。エンジニアとして、システム開発の全工程(要件定義や設計、開発、テスト、リリース、保守まで)を担当してきましたし、現在はAndroidのアプリも作成していますので、経験者の視点からお話ししていきます。

SIerがブラックと言われやすい理由

さて、先述したとおりSIerがブラックになりやすい構造的な問題が4つあります。

ここでは「残業時間が多く、給与が低い」ことをブラックとして定義します。それでは1つ1つ解説していきましょう。

ビジネスモデル(労働時間ベースの売上・多重下請け)

SIerがブラックと言われやすい理由として最も大きいのが、ビジネスモデルの影響だと考えられます。

 

通常、効率化を行うとコスト(人件費)が少なくなり会社にとってメリットになるのですが、SIerは人月商売と呼ばれ、稼働した時間に対して対価が支払われます。

つまり、効率化をしてしまい、今までよりも短時間でシステム開発ができてしまうと売上が小さくなってしまうのです。

 

せっかく効率化をしても自分たちの首を絞めてしまうため、中々効率化が進みません。

また、業界構造として、顧客と直接接点のある「1次請け」と呼ばれる企業が、別の企業にシステム開発を依頼したり、エンジニアを借りて開発を行います。

つまり、自社にノウハウが溜まりにくく、中々効率化が進まないのです。

 

そして、2次請け、3次請けと介在する人が多いため、ピンハネされることもあり給与が低くなってしまいます。

確か私の単価も100万円/月以上あったのですが、給与は30万円程度でした。

 

また、介在する人が多いということはコミュニケーションにかかる時間も大きくなってしまいますので、自然と作業時間も長くなってしまいます。

もちろん企業の中では効率化を推進している人もいるとは思うのですが、上記のような背景があるため、中々効率化が進まないのです。

要件を詰め切れない、途中で変わる

人間同士のコミュニケーションなので、正しくコミュニケーションができないケースが多々あります。

例えば顧客が言ったことが10だとすると、SIerが受け取ったことが7となるケースも往々にしてあります。

この残りの3を残業などでカバーするので残業時間が多くなってしまうのです。要件定義の難しさを風刺した絵がありますので、ご紹介させていただきます。

 

上図のように、コミュニケーションというのはすれ違うことが多々あります。

 

また、顧客側の要件が変わることもあります。

システム開発には長時間かかるため、要件定義を行ってから開発が終わるまでの間にユーザ側の事情が変わってしまい、要件が変更になることもあります。

通常、お金さえ貰えればSIer側は対応するのですが、納期は変わらないので残業でカバーすることになります。

以上のような理由で、残業がドンドン増えてしまうのです。

マネジメント側の技術力(システム開発力)不足

続いての理由が、マネジメント側の技術力不足です。

 

マネジメントを担当する人の中には、技術のことをあまり知らない人が多くいます。これは先ほどSIerの構造を紹介したと思うのですが、マネジメントを担当する1次請け企業の多くは、実際の開発ではなく顧客との打ち合わせを担当することが多いからです。

実際、メーカーに転職してからシステム開発を発注することがあり、数社から説明を受けたのですが、マネジメントを担当される方は、半分以上が技術に関して疎い方でした。

 

このような方々が顧客との打ち合わせの中で「大丈夫だと思いますよ」と安易に承諾してしまった内容も、技術的にはとても難しい内容で、エンジニアの方にしわ寄せが来てしまうということがあるのです。

その会社の風土

最後に、その会社の風土が原因の場合もあります。

残業が美徳という風潮があり、残業自慢が起きている企業では、定時で帰りにくい雰囲気が蔓延しています。例え自分のタスクが終わっていても、他の人が残業しているのであれば他のタスクを担当しろという指示が飛んできます。

 

実際私が以前働いていた現場でもそうでした。私自身のタスクは予定通りだったのですが、PJが遅延しているからと他の人のタスクが回ってきて、以前から計画していた予定をキャンセルせざるを得ないこともありました。

このような状況下ですと、どんなに効率化しても給料は増えませんし、自分の担当範囲が広くなるだけになってしまいます。つまり頑張っても報酬は増えず、負担が増えるだけなのです。

SIer就職の是非

さて、SIerがブラックになりやすい理由について解説してきましたが、SIer就職は悪手なのでしょうか?

これは、「その人に依る」というのが回答になるかと思います。

給与面

フリーランスで独立できるくらい実力のある方であれば、独立した方が収入は大きくなると思います。

ただ、1次請けに就職できているのであれば、税金面や年金面も考慮すると、収入面はあまり差にはならないかもしれません。詳細は下記記事を参照ください。

 

また、実力のある方は重宝されるので仕事の心配をしなくても良いでしょう。

 

一方、これは批判もあるかもしれませんが、能力の低い人にとってはSIerは非常に良い職場だと思います。

IT技術が益々発展していくと思うので、今後の企業からの仕事はなくならないと思いますし、能力が低くても他の仕事に比べれば報酬が大きいからです。

労働時間は長いかもしれませんが、その分残業代も出て、懐は潤います。

教育面

SIerは教育制度が充実しているところが多いです。

SIerは人が資本なので、未経験者でも育ててくれ、非常に安心かと思います。(働いた時間が売上になるので、新人でも安定的に売上が経つ)

 

一方フリーランスや自社開発企業では、SIerほど手厚い研修は無いと思います。

フリーランスは自分で勉強するしかないですし、自社開発企業に関しても、未経験者を採用するメリットがあまりないので、教育はSIerほど充実していないところが多いです。

仕事面

開発をメインで行いたい人は、SIerではなくフリーランスや転職などを視野に入れた方が良いでしょう。

一方、マネジメント(自分が開発するのではなく、他人に開発してもらうこと)が得意な人は活躍できるかもしれません。

どちらにせよ、実際に体験してみないと自分に合うかわからないので、興味があるのであればSIerに挑戦するのはアリだと思います。

ちなみに私は合わなかったので転職しましたが…笑

SIerに就職している人のキャリアパス

さて、SIer含めどのようなキャリアパスが考えられるでしょうか?

こんなことを書くと怒られるかもしれませんが、個人的にはSIerで経験を積み、フリーランスもしくは事業会社側の情報システム部に転職することがオススメです。

  • (実力があり)開発が好きな方→フリーランス
  • マネジメントが好きな方→情報システム部

 

開発が好きな方であれば、フリーランスになれば収入は大きく伸びるでしょう。フリーランスエンジニア向けに仕事を紹介しているjoBeetによると、2件に1件が80万円/月を超えているそうです。

年収1,000万円超えも見えてきます。

一方、企業の情報システム部はあまり専門的な教育を受けていないため、SIer出身者だと重宝されます。

また、今までベンダー側で働いていたため、ベンダー側の事情もよく知っていると思うので、交渉がしやすいと思います。最近は人材不足もあって好待遇な求人も出ているので、こちらも活躍しやすいのではないでしょうか?

 

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まとめ

今回はSIerがブラックになりやすい理由と、SIerのキャリアパスについて考えてみました。

 

今の環境が当たり前ではありません。

私も転職をして環境を変えたところ、1年間の残業時間が、前職の1か月の残業時間を下回っていました。「このような世界があったのか…」と衝撃を受けたものです。

 

システムエンジニアはかなり大変な仕事だと思います。

今の環境を変えたい方はぜひ一度外の世界を見てください。きっと新しい価値観に触れられると思います。

 

もし転職をするのであれば、書類の添削や面接対策、日程調整、給与の交渉など多岐に渡る支援を無料でしてくれる転職エージェントの利用をオススメします。

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今回の記事が皆様の役に立てば幸いです。ではでは。

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